千年前から歌っていた「ハートフル・ボイス」
2007年12月10日 音楽
90年に天性の歌声で多くの人を魅了した中西保志が帰ってきました。いや、このアルバムでの10年前となんら変わらない歌声を聴くと、彼自身はあの頃からずっと歌い続けていたかのよう。個人的には想い出のあるアーティストだったので、こちらの方が「想い出を閉じこめて」きた感じです。オリジナルアルバムでなく、今流行りの「カバーアルバム」ではありますが、今は彼の声を再び聴けることの感動を素直に喜びたいと思います。とりあえず、彼を知らない人のために出来るだけわかりやすく紹介してみたいと思います。
中西保志という人のデビューは遅く、2ndシングル「最後の雨」でレコード大賞の最優秀新人賞を受賞した時は史上最年長の新人賞でした。ここから順風満帆かと思われたのですが、圧倒的な歌唱力のためにバラードしかヒットしないという状況の中、折りしもJ-POPS全盛期の中西圭三(Choo Choo Train)などのダンサブルなサウンドが好まれるようになりました。4thアルバム「PLEASURE」では、自ら作曲してダンサブルなポップスを展開しますが、彼の歌のうまさへの需要の方が多かったことで、こうした試みは結果的に失敗となります。
時代の流れは彼にさらなる不遇の時を与えます。デビュー当初からのレコード会社であるコロムビアレコードが、90年後半になって、事実上J-POPSから手を引くことになります。よって、彼は98年に発表の6thアルバム、「Affection」で表舞台を去ることになりました。(現在はコロムビアミュージックエンタテインメントとして、一青窈、木村カエラなどを擁するが、今でもビミョーにR&Bなどのダンス系アーティストが圧倒的に少ないのは、この時にavexなどの新興レーベルに移られたため。)
彼を追いやったのはリスナーではなかったのです。それどころか、その後の彼を支え、再び歌うためのきっかけを作ったのは有志による署名だったという事実もあります。あと、私が遭遇したエピソードとして覚えているのが、活動がうまくいっていた時に、ある学園祭のライブにて、「これだけ多くの人の前で歌うのは実は初めてで、緊張しています。」というMCです。私はこの人は天才だと思っていたので、このフツーの人っぽい発言と飾らない雰囲気に驚くと同時に、だからこれほどやさしい歌声をしているのかと思ったもんです。だから、彼を下から支ようとする人が現れたのも、声だけでなく人柄も暖かいのではないかと思います。
そんな経緯を経て、生まれたカバー集「スタンダーズ」ですが、徳永英明とは似て非なるものになっています。10年目にしてまたも鳥肌なのは、02.あまく危険な香りや、04.いっそセレナーデ、08.シングル・アゲインなどのクラシカルなスタンダードです。しかし、一番魂を感じるのはやはり、彼のオリジナルであり、スタンダードでもある12.最後の雨2007です。再びオリジナルアルバムが製作されるまで、また「夜を数えて」しまうことになりそうですが、それも楽しいと感じられそうです。
※全曲試聴はこちら
http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20294792
※中西保志 Official Web Site
http://www.y-nakanishi.com/
Standards/スタンダーズ
01.LOVE LOVE LOVE (Dreams Come True)
02.あまく危険な香り (山下達郎)
03.MISSING (久保田利伸)
04.いっそセレナーデ(井上陽水)
05.真夏の果実 (サザン・オールスターズ)
06.もうひとつの土曜日(浜田省吾)
07.EVERYTHING(MISIA)
08.シングル・アゲイン (竹内まりや)
09.春よ、来い (松任谷由実)
10.言葉にできない (オフコース)
11.桜色舞うころ (中島美嘉)
12.最後の雨2007
中西保志という人のデビューは遅く、2ndシングル「最後の雨」でレコード大賞の最優秀新人賞を受賞した時は史上最年長の新人賞でした。ここから順風満帆かと思われたのですが、圧倒的な歌唱力のためにバラードしかヒットしないという状況の中、折りしもJ-POPS全盛期の中西圭三(Choo Choo Train)などのダンサブルなサウンドが好まれるようになりました。4thアルバム「PLEASURE」では、自ら作曲してダンサブルなポップスを展開しますが、彼の歌のうまさへの需要の方が多かったことで、こうした試みは結果的に失敗となります。
時代の流れは彼にさらなる不遇の時を与えます。デビュー当初からのレコード会社であるコロムビアレコードが、90年後半になって、事実上J-POPSから手を引くことになります。よって、彼は98年に発表の6thアルバム、「Affection」で表舞台を去ることになりました。(現在はコロムビアミュージックエンタテインメントとして、一青窈、木村カエラなどを擁するが、今でもビミョーにR&Bなどのダンス系アーティストが圧倒的に少ないのは、この時にavexなどの新興レーベルに移られたため。)
彼を追いやったのはリスナーではなかったのです。それどころか、その後の彼を支え、再び歌うためのきっかけを作ったのは有志による署名だったという事実もあります。あと、私が遭遇したエピソードとして覚えているのが、活動がうまくいっていた時に、ある学園祭のライブにて、「これだけ多くの人の前で歌うのは実は初めてで、緊張しています。」というMCです。私はこの人は天才だと思っていたので、このフツーの人っぽい発言と飾らない雰囲気に驚くと同時に、だからこれほどやさしい歌声をしているのかと思ったもんです。だから、彼を下から支ようとする人が現れたのも、声だけでなく人柄も暖かいのではないかと思います。
そんな経緯を経て、生まれたカバー集「スタンダーズ」ですが、徳永英明とは似て非なるものになっています。10年目にしてまたも鳥肌なのは、02.あまく危険な香りや、04.いっそセレナーデ、08.シングル・アゲインなどのクラシカルなスタンダードです。しかし、一番魂を感じるのはやはり、彼のオリジナルであり、スタンダードでもある12.最後の雨2007です。再びオリジナルアルバムが製作されるまで、また「夜を数えて」しまうことになりそうですが、それも楽しいと感じられそうです。
※全曲試聴はこちら
http://www.tsutaya.co.jp/item/music/view_m.zhtml?pdid=20294792
※中西保志 Official Web Site
http://www.y-nakanishi.com/
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