日本のハイクオリティーなアニメ=ジャパニメーションとそれを支える音楽との関係について、特集します。第1回は、やはりこのCDと全作曲者である菅野よう子さんです。もはや、日本のアニメ界にとって彼女は欠かせない存在です。(9/4の日記も参照してください。)今回は「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のサウンドトラックを例にお話したいと思います。

?run rabbit junk (高橋ひでゆき)
?ヤキトリ
?スタミナ・ローズ (Gabriela Robin)
?surf
?where does ocean go? (Ilaria Graziano)
?train serch
?シベリアン・ドール・ハウス (Gabriela Robin)
?velveteen (Ilaria Graziano)
?lithium flower (Scott Matthew)
?home stay
?inner universe (Origa)
?fish~silent cruise
?some other time (Gabriela Robin)
?beauty is within us (Scott Matthew)
?we’re the great
?モノクローム (Ilaria Graziano)

?がDVDでのOPテーマ曲。Origaと菅野さんというコラボはもう最強です。EDテーマ曲のbehuman(ScottMatthew)がここには収録されてないのが残念。ただ、別のCDの「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX~be Human」の方に収録されており、この2枚とあわせて聴いた時に、初めてこのアニメの世界観が成立するということになるようです。

菅野よう子さんには、大きな2つの才能があります。この攻殻機動隊S.A.Cのために菅野さんが書き下ろした音楽には、あらゆる国、ジャンルの域に捉われないし、既存のいろんな音楽の枠を取り外し、自分の中で新たに再構築することで、新しい独自のサウンドを創り出している。これがまず1つ目の才能。さらに、そのサウンドを並べてみると、世の中に存在しない、一種の異世界を全体で表現している。これが2つ目の才能です。そして、今回の異世界は「攻殻機動隊S.A.C」の世界観と的確にマッチしている。こんな芸当ができる作曲家は世界的にも少ない、貴重な存在だと思います。

具体的に喩えると、それはジグソーパズルのイメージで、1つ1つのピース(トラック)の形や大きさはバラバラでも、キレイにはめ込んだら、出来上がった絵が結果として非常に美しいということになる。これは全てにおいて計算されていないと、完成しないし、パズルにならない。パズルにならないピースは、最後の絵が見られないという意味では、全く価値がないと言える。(ただ、これはパズルにおいての喩えであって、音楽に関しては価値のないものなど存在しないし、音楽は使用目的ではないので、価値という考え方とは無縁のものだということを、誤解のないように、ここで強く述べておきます。)つまり、菅野よう子という人は、最後の絵をイメージしながら、各ピースを計算しながらバラバラに作ることのできる人というわけなのです。

このことから、菅野よう子さんはこれまでのサウンドクリエーターとは異なる手法を持つニュータイプのサウンドクリエーターと言ってもいいと思います。よって、ジャパニメーションには、ある種の世界観が存在することが不可欠なので、こうした新しいサウンドクリエーターの存在も、また不可欠ということになるのです。彼女は、これからも目が離せないアーティストの一人です。

<参考リンク集>
○菅野よう子プロフィール
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Profile/A008451.html
○全曲試聴はこちら
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1898081
○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 日テレ版HP
(公式よりこちらの方が判り易いので。)
http://www.ntv.co.jp/kokaku-s/

 

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