四月物語の撮影時に同時に作られた、松たか子のデビューアルバム「空の鏡」のPV作品集です。当然、全てのPVの監督は岩井俊二監督。これほど贅沢なPVは珍しいです。松たか子のPVでありながら、岩井俊二監督の映像作品でもあるわけですから、かなり貴重です。四月物語の撮影の合間にとったような感じで、映画本編よりも肩の力の抜けた作品になってますので、音楽と伴に心地の良い時間が過ごせます。ここでは映画との繋がりを意識しつつ、ポイントだけレビューします。
01.I STAND ALONE
02.Hello goodbye
03.After the rain
04.からいかれ
05.空の鏡
06.a piano piece for Carol
ボーナス・トラック
01.I STAND ALONE TVCM(4Type)
02.空の鏡 TVCM/予告

01.I STAND ALONE
映画の冒頭での、主人公の楡野卯月(松たか子)が上京してきて、ワンルームに引越ししてくる際のシーンがそのまま使われてPVスタート。桜吹雪の公園に座って、静かに歌う松たか子。よく見ていたらわかるんですが、楡野卯月が新しい土地を自転車で散策するシーンが映画にあるのですが、1.このPVで歌う松たか子の服装がその時の服装と同じ。2.歌っている隣に同じ自転車がさりげなく写っている。ということから、楡野卯月が途中の公園で自転車を止めて歌っているようなサブストーリー的な要素を含んでいます。

02.Hello goodbye
このPVのポイントは、手書きで歌詞の断片が書かれた黒板式カチンコを松たか子が歌いながら手に持っている場面を映画のオフショット感覚で撮影しています。こういうアイデアは画期的で、効果的な手法。黒板式なので、チョークで書かれた単語はすごく懐かしいイメージがします。映画との接点では、卯月が通う大学の構内で、屋外バンドをやっているシーンがあったのですが、そのセットを使って松たか子がエキストラ達の囲む中で歌っています。

03.After the rain
映画の終わりの方で、卯月が雨の中、傘のないまま街中を走り回るシーンを随所で使用。別に映画では無かった場所と衣装で松たか子が傘をさしながら、ベンチで歌う。完全に別撮りなので、映画のラストシーンと同じくらい、丁寧に撮影されています。

04.からいかれ
映画の中盤で卯月が隣人に「カレーを食べませんか?」というシーンがあるのですが、その時の撮影時のオフショットという感じ。(ただ、その時とは服装が違う。実際には引越し時の撮影時か?)松たか子が実際にカレーライスを作って、撮影スタッフに振舞うまでの微笑ましい光景をラフな感覚で撮影。

05.空の鏡
これも映画の中盤で、卯月が上京前に北海道の緑の大地で、一冊の本「武蔵野」を読みながら東京へ想いを馳せるシーンで、PVとしても同時に撮影したもの。昔の8ミリフィルムを流す時のような映像効果が随所に付加されています。

06.a piano piece for Carol
実際にはこのPV集のエンドロール。黒板式カチンコを手に持ったカメラ目線の松たか子のカットが次々と写る。全て撮影間のオフショットなので、見た目は楡野卯月でも、そこに写るのは松たか子であるという対比がカチンコ1つで完成しています。本当に素晴らしいアイディア。

正直、これほど贅沢なPV集はないと思います。ただ、四月物語を見ているのといないのとでは感じ方が違うかもしれません。そういう意味で、映画本編とこのPV集とのセットだと10倍楽しいです。ちなみに私は、VHSで持ってるので困ってます。でもやっぱDVDも欲しい・・・

※「カチンコ」って何?という方はこちら。
http://film.club.ne.jp/item/clapperboard.html

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