中西保志。日本の男性ボーカルでこれほど歌のうまい人は、しばらく出ないだろう。ケミストリーゴスペラーズもなかなかの実力派だが、1人で歌った時にこの人ほどの存在感を出せるかどうかはちょっと疑わしいと思う。当時は、ちょうど名前の似た「中西圭三」の方が先に有名で、影が薄い感じになってしまったのは残念だった。「圭三」と「保志」ではどちらがうまいかというと、簡単に「保志」だといえないくらい、実力的には均衡していたと思うが、「圭三」の場合はサウンドクリエーターとしての才能が勝る分、結果として人気が出たと見るのが一般的なところか。

It’s only a Ballad / 中西保志
01.最後の雨
02.想い出を閉じこめて
03.千年前から見つめていた
04.夜を数えて
05.一日の終わりに
06.ラヴ・タイド
07.愛が見えたとき
08.だから憶えている
09.ひとりぼっちの夢じゃない
10.君が微笑むなら
11.ラスト・コール
12.歓送の歌

でも私はむしろ彼は、ずば抜けたボーカルに見合うだけのサウンドに恵まれなかったという様に思う。1st、2ndあたりまでは良かったが、ややマンネリ化し、以後はアップテンポな曲をシングルにしてアピールするも、やっぱりバラードの歌声とは比べ物にならない。彼の歌唱力に見合うだけの曲はどうしてもバラード曲になってしまう。

というわけで、今回は彼のバラード曲のみ集めたベスト盤を紹介します。彼の圧倒的なボーカルと、バラードとしての存在感やぬくもり感はやはり誰にも真似はできない。彼こそが真の「シンガー」であると思う。?最後の雨で遅すぎるレコード大賞「新人賞」を受賞する。これが唯一のヒット曲。だが、このアルバムの中で最大の注目曲は?夜を数えてだ。なぜなら、このミドルナンバーのみ、彼の歌唱力と同等の質の高いサウンドになっている。何故なら、この曲だけ「オズニー・メロ」が書いている。

このオズニーメロ(Osny Melo)というブラジル人は、日本の歌手にちょこちょこと曲を提供していた人だが、それは仮の姿で、実はとんでもない創造力のあるサウンドクリエーターなのだ。この人はゲストボーカルを迎えて、「MERV」という名のCDを出している。この中では自らもボーカルをとっている。はっきりいって、この人の本気の作品CDが存在すること、彼の歌声を聞いたことのある人は、非常に少ないはずだ。(アマゾンで彼の名前で検索しても出てこないが、「MERV」でタイトル検索すると最初に出てくる。)それはレコード会社の関係で生産量が少なく、CDで存在する絶対量が少ない。中古屋で見かけたら超お宝級だ。もちろん洋楽としてだが。

話がそれたが、とにかく?夜を数えては2人の超才能が見事にコラボレートしている究極のナンバーだ。あとは????あたりがバラードとしては名曲といえるだろう。最後の?歓送の歌のみが、このCDにしか収録されていない。というのは、これは小椋桂のカバー曲であるからだ。小椋桂といえば、おじさんの聴く歌(歌謡曲)で、「ダサイ」と感じる人がいるかもしれないが、本当は、この曲こそ、彼の才能に見合う曲なのかもしれない。

音楽を感じるなら?夜を数えて。だが理屈抜きで、直接、心を打たれるのは?歓送の歌だ。この歌詞と魂の歌声で、私は思わず涙したことを覚えている。そして、このカバー曲が彼のアルバムの最後を飾ることの意味を多くの人に知って欲しいと思う。

※試聴はこちら。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=271757

コメント

nophoto
ヴィノクロフ
2018年2月17日23:16

自分もオズニーメロ好きです!

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