最近、2枚組のベスト盤が出ているようですが、初期の彼らの名曲がつまった内容的にベストなCDをご紹介。1994年にリリースされた、アメリカン・ハードロック覇者、ボン・ジョヴィの10周年を記念してリリースされた、「ベスト盤以上の価値のあるベスト盤」です。94年で10周年で、今でも現役で活躍している彼らも近年のUKロックブームに不満を漏らしたりしているようですが、このアルバムを聴けば、彼らが間違いなくアメリカン・ハードロックの王者だと誰もが認めること間違いなしなので、他の悪口なんて言わずに堂々と我が道を進んで欲しいものです。

Cross Road / Bon Jovi
01.Livin’ On A Prayer
02.Keep The Faith
03.Someday I’ll Be Saturday Night
04.Always
05.Wanted Dead Or Alive
06.Lay Your Hands On Me
07.You Give Love A Bad Name
08.Bed Of Roses
09.Blaze Of Glory
10.Tokyo Road(*)
11.Bad Medicine
12.I’ll Be There For You
13.In & Out Of Love
14.Runaway
15.Never Say Goodbye

このアルバムはボン・ジョヴィというバンドのデビューから10年の軌跡の中での栄光や挫折、苦悩という全てが集約されています。今回はそういう趣旨を踏まえて自分なりの文章にしてみようと思います。まず、全体的な作品の特徴から挙げると、このベスト盤に追加の形で発表されたオリジナル新曲が2曲、今となってはあまり知られてないのですが、4thアルバムの「New Jersey」からメンバー間の確執や、88年のリリース後で700万枚のセールス達成となったこの作品を超える作品が出来るのかというプレッシャーなどから、思うような作曲ができない状態まで追い込まれていた時期が90年前後にありました。

思えば、14.Runaway(邦題:夜明けのランナウェイ)でデビューし、これがアメリカよりも日本でカバーされるものの、本国ではまだ多くのバンドの一つに過ぎなかった彼ら。そこからハッキリと頭角を現したのは、01.Livin’ On A Prayerと、07.You Give Love A Bad Name(邦題:禁じられた愛)の2曲が全米No.1ソングとなったことで、まさにアメリカンドリームが現実になります。次いで発表されたのが、先の「New Jersey」で、ここでも11.Bad Medicine12.I’ll Be There For YouがNo.1に。このアルバムでは他の曲もベスト10入りした曲が数多くありました。06.Lay Your Hands On Meはこの曲でアルバム「New Jersey」が幕を開ける構成になっていたので、ファンの中では熱狂的支持を得ていました。こうして彼らはかつてどのバンドも到達し得なかった「頂点」に到達しました。

この頃の80年代後半という時代は、今と違ってようやくCDというものが市場に出るようになってきた時代で、多くの人はLPレコードで持っている人が多かったのと、(CDプレイヤーが高かったしね。)基本的にハードロックが通常のチャートでNo.1になるというのは前例のないことでした。ボン・ジョヴィというバンドが放った「New Jersey」というアルバムは、ハードロックという音楽が、ソウルなどと同様に一般的に認知されたことを意味したので、まさに歴史を変えた作品だったと言っても過言ではないといえるでしょう。

世界王者になったボクサーがタイトルを防衛し続けることの方がはるかに難しいというように、彼らにもまさにそういう状況に陥ります。そうして向かえた90年初頭、世界中のファンの大きすぎる期待がジョンを、孤独へと追い詰めます。メンバー間の不仲で解散か?という噂が流れる中で、一人バーで酒に逃げるジョンはある日、カウンターのラジオから自分たちの曲が流れてきた瞬間、店員がチャンネルを変えたのを見て、自分の悩みが軽くなったといいます。「どんなに悩んで作品を仕上げてもたくさんの音楽の中の1曲に過ぎない・・・。」そして彼は、自分の音楽のルーツを見つめなおすようになります。

実は、この時期に書かれたと思われる曲が、渾身のロックバラード、04.Alwaysと、90年のソロとして発表した、09.Blaze Of Gloryの2曲です。どちらもド派手なサウンドだった「New Jersey」とは対照的に、汗と土の匂いがするサウンドと彼の魅力でもある壮大な楽曲になっています。こうした過程を経て、5th「Keep the Faith」を同じメンバーで再スタートを切ります。(このジャケ写こそ彼らの当時の想いを簡潔に表しています。)

そんなこんなで、今のボン・ジョヴィがあるわけです。最近はもう昔の彼らの曲を知らないまま、新作を聞いている人が多いと思うんですが、そういう人にぜひこの1枚を、いや、04.Alwaysだけでも聴いて欲しいと思います。これ以上の壮大なロック・バラードを今でも聴いたことはないですね。とりあえず試聴してみてください。(今は廉価版が出ているので購入もオススメしたいくらいです。)

※試聴はこちら
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1427510

※Bon Jovi - Always(PV)
http://youtu.be/9BMwcO6_hyA

※懐かしいトリビア
01.Livin’ On A Prayerは、早い段階で日本のカセットテープ、「Axia」(アクシア)のCMで使用されました。日本のファンはこれがキッカケでファンになった人が多いはず。

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